マット安川 日本が原発を抱えなければいけないもうひとつの理由とはなにか?・・・インテリジェンスに造詣が深い佐藤優さんが今回のゲスト。古巣でもある官僚機構が崩壊している、という内幕のお話もお聞きしました。

永田町は毒ガス地帯? 官僚もマスコミも変調をきたしている

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:佐藤優/前田せいめい撮影佐藤 優(さとう・まさる)氏
元外交官、文筆家。インテリジェンスの専門家として知られる。第38回大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞した『自壊する帝国』の他、『外務省ハレンチ物語』や『甦る怪物(リヴィアタン)―私のマルクス ロシア篇』など著書多数。近著に『この国を動かす者へ』『3.11 クライシス!』。(撮影:前田せいめい、以下同)

佐藤 今の永田町は毒ガスが蔓延しているんじゃないかと思うほど、ひどい状況です。国民とも国家とも関係のないゲームにうつつを抜かしている。政治家はむろんのこと官僚も、そして批判的な視点を失ったマスコミも、明らかに変調をきたしています。

 思うに、一番悪いのは自民党です。民主党の政策に対案を出すどころか、ことさら政局に持ち込もうとしている。与党に手を突っ込んで大臣のポストを狙っている人がいたりする。これじゃ真の保守政党とは言えません。

 官僚が働いていないのも問題です。本来、官僚とは指導者がだれであろうと持てる力を発揮して国家に奉仕するものですが、彼らは明らかにそれをしていない。だれのそばにいれば出世できるかと、そればかり考えている。

 元々志のある人もいるはずですが、永田町の毒ガスを吸っているうちにおかしくなってしまったのでしょう。

 今の日本は、病気の子どもを抱えた家庭のようなものです。家を抵当に入れてでも治療費を捻出しないといけない。そのために真っ先に必要なのが特例公債法なのに、成立する見通しすら立たないのはどういうことなのか? 

 与野党を超えてみんなが一丸となるべき国難だというのに、与党内部すらバラバラです。永田町の現状は異常と言うしかありません。

今の政情はソ連崩壊後のロシアに似ている

 あえて言いますが、僕は「永田町の政治家ども」に、あんたたち、どこ見てるんですか? と問いたい。皆さんのお力も借りて、こういう状況をなんとかして変えないといけないと強く思っています。

 というのも、今の日本はソ連崩壊後のロシアとずいぶん似ているからです。