(英エコノミスト誌 2009年5月16日号)
ポルシェの敗北の大きさが今ようやく明らかになってきた。
フェルディナント・ピエヒ氏(右)はポルシェ創業者フェルディナント・ポルシェの孫〔AFPBB News〕
欧州の自動車業界で1つ確かなことがあるとすれば、それはフォルクスワーゲン(VW)会長のフェルディナント・ピエヒ氏(72歳)に逆らっても何の得にもならないということだ。
先日、サルディニアでハッチバック「VWポロ」の新モデルを発売した際、ピエヒ氏は強気ムードを漂わせ、ポルシェ一族および強情なポルシェCEO(最高経営責任者)のヴェンデリン・ヴィーデキング氏に対する勝利を宣言した。
持ち株会社ポルシェ・オートモービル・ホールディングの議決権株を100%支配するポルシェ一族とピエヒ一族は5月6日、ポルシェが自社の15倍の規模を持つVWを買収するというありそうもない企てを中止することで合意した後、4週間かけて両社の合併の条件と組織について詳細を協議することにした。
合併新会社の主導権を握るのはVW
だが、個人でポルシェ株の10%を所有するピエヒ氏が今回極めて明確にしたのは、運転席に座るのは自分とVWであって、ほんの数週間前に思われていたように、従兄弟のヴォルフガング・ポルシェ氏やヴィーデキング氏ではない、ということだ。
合併後のグループの最終的な形はまだ決まっていないが、ピエヒ氏は大まかなヒントをいくつか与えてくれた。
これ以外にも2つの選択肢が検討中だとされるが、ポルシェがVWグループに完全に統合され、VWグループのほかの7つの自動車ブランド――VW、アウディ、スコダ、セアト、ベントレー、ランボルギーニ、ブガッティ――に加わることはほぼ間違いなさそうだ。
そして、その指揮を執るのはVWのCEOマーティン・ヴィンターコーン氏になるだろう。
満足げなピエヒ氏は、自分のキャリアを「邁進する」ことに慣れた男が、「非常に多くの階段を下りて」、「謙遜」を実践しなければならなくなることを考えると、ヴィーデキング氏が合併後の新会社でただの部門長になるのを受け入れることは「想像できない」と言った。
ピエヒ氏は、ポルシェがVWの株式の50.8%を取得する過程で積み上げた90億ユーロ(122億ドル)の債務を、VWが引き受けることも想像できないという。
数週間で一気に頓挫したポルシェのVW買収計画
ポルシェは15倍の規模があるVWを買収しようとしていた・・・〔AFPBB News〕
そして、かつて尊敬を集めたポルシェのCFO(最高財務責任者)ホルガー・ハーター氏に上級職を与えることについては、まあ、VWの支配権を獲得する企てをヴィーデキング氏とともに編み出した共同立案者として、計画失敗の責任を引き受けなければならないだろう。
2年以上かけて進められてきた2人の大胆な計画は、ものの数週間で頓挫した。
昨年末時点では、ポルシェの戦略は予定通り進んでいるように見えた。ポルシェは10月、VWの議決権株を42.6%まで買い増したことや、担保付きオプションという形でさらに同社株の31.5%を取得したことをなかなか認めず、VW株を空売りしていた投資家を一斉に買い戻しに走らせるという騒動を引き起こした。
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