(英エコノミスト誌 2009年5月9日号)
コンピューター業界が独占禁止法(反トラスト法)の問題から抜け出せる日は来るのだろうか?
米インテルは欧州委員会から過去最大の制裁金を命じられた〔AFPBB News〕
「この反トラスト問題の一件は立ち消えになるだろう」。これは今から10年前、当時、米マイクロソフトのCEO(最高経営責任者)だったビル・ゲイツ氏が、規制当局に刃を向けられた時に述べた言葉だ。
ほかの大手ハイテク企業の経営者も、自社が反トラスト法監督機関の標的になった時は、ゲイツ氏ほど大っぴらに公言しないにせよ、同じような見解を抱いたものだ。
しかし、そうした考え方は当時も希望的観測だったし、今もやはり甘い考えだ。
今再び、延々と続く反トラスト法騒動に火がつき、各国の監督当局が業界大手企業に対して新たな訴追の動きを見せている。
欧州委員会が米インテルに巨額制裁金
欧州連合(EU)の欧州委員会は今週、長らく判断が待たれていた、世界最大の半導体メーカー、インテルに対する処分を発表する。同委員会はインテルに、少なくとも10億ユーロ(13億ドル)に上る巨額の制裁金を科すと見られている*1。
6月上旬には、マイクロソフトがベルギー・ブリュッセルの聴聞会で、同社が違法に同社製のブラウザー(閲覧ソフト)を基本ソフト(OS)「Windows」とバンドル(抱き合わせ)したとの嫌疑――1990年代後半にマイクロソフトがトラブルに巻き込まれる原因となった行為そのもの――に対して反論することになっている。
1950年代以来、監督当局の標的にされてきたIBMも、新たな反トラスト法違反の申し立てに直面している。
コンピューター業界の新星グーグルも現在、厳重な調査を受けている最中だ。4月29日には、書籍検索サービスに関してグーグルが著作者や出版社と合意した和解内容が反トラスト法に抵触しないかどうか、米司法省が調査中であることが明らかになった。
そして5月5日には米連邦取引委員会(FTC)が、グーグルとアップルの取締役を兼任している人物が2人いることが、両社間の競争の妨げになっていないかどうかについて調査に乗り出している。
コンピューター業界と独禁法の因縁
コンピューター業界は他業界に比べて反トラスト法絡みで新聞の見出しを飾ることが多く、また、そうした問題から簡単には脱却できそうにない。これには、3つの理由がある。
まず、大手ハイテク企業が往々にして、それぞれの市場を支配していることが挙げられる。これらの企業の経営者に、大手が支配的な立場を築いた理由を尋ねたら、恐らく彼らは口を揃えて、研究開発に巨額のカネを投じた結果だと答えるだろう。
だが、それらの企業は、勝者がすべて(もしくは、ほとんど)を手に入れることが許される市場で勝負しているという側面もある。
*1=欧州委員会は13日午前(欧州時間)、インテルに対して正式に10億6000万ユーロの制裁金を命じた
JBpress特典として、最新号がプレゼントされます。
- いよいよ世界に蔓延する模造品 (2010.03.12)
- 財政赤字:誰が勘定を払うのか? (2010.03.10)
- 通貨競争:底を目指すレース (2010.03.09)
- 心気症を患うヨーロッパ人 (2010.03.09)
- 性殺戮:1億人の女児に何が起きたのか? (2010.03.08)
- 「米国産業」
- 「IT産業」
- 「コーポレートガバナンス」
- 「特許・知財」
- 「反トラスト法」
- ■中国イスラムテロより怖い対中債務 (03月12日)
- ■Financial Times中国が挑む世界最大の都市化実験 (03月12日)
- ■The Economistいよいよ世界に蔓延する模造品 (03月12日)
- ■日本のものづくり「できない」と思ったら成功するわけがねぇんだよ (03月12日)
- ■Financial TimesなぜかECBが受けつけない「常識」 (03月12日)


RSS
Twitter
最新記事
最新記事
SHARE
RESIZE
Small Size
Large Size
PRINT
Small Size
Large Size




