(英エコノミスト誌 2009年5月9日号)
フィアットCEO(最高経営責任者)のセルジオ・マルキオーネ氏が合併に突っ走り始めた。
一躍脚光を浴びるセルジオ・マルキオーネ氏〔AFPBB News〕
セルジオ・マルキオーネ氏の会社は、世界の大衆車メーカーの中では最小の部類に入る。しかし今、同氏は間違いなく、世界で最もよく話題にされる自動車メーカーの経営者だ。
フィアット・グループのCEO(最高経営責任者)だけが、唯一、デトロイトの崩壊にまたとない機会を見いだしている。
米クライスラーと、米ゼネラル・モーターズ(GM)の欧州部門オペルの経営を掌握することで、マルキオーネ氏はフィアットをトヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)とほぼ肩を並べる巨大な自動車グループに変身させようとしているだけでなく、長年問題を抱えてきた自動車業界の様相を一変させようとしているのだ。
マルキオーネ氏は昨年12月、打ちのめされた自動車業界についてこう語った。「我々が目にしているのは前例のない事態だ。私は、これほど多くのシステムが一度に壊れるのを見たことがない」と。
フィアットは生き残るための戦いを繰り広げていた。「我々は急ブレーキを踏み、必要なだけ一時的レイオフを実施し、すべてを必要不可欠な水準まで削減するつもりだ」。マルキオーネ氏はこう言って、預言的な見通しもつけ加えた。
マルキオーネ氏が予想する2年後の自動車業界
「そんな状況が終わる24カ月後には、量産メーカーに関する限り、この業界に残っているのは、米国メーカー1社(フォードかGM)、大きなドイツメーカー1社(VWグループ)、恐らくは米国にも手を広げた日仏グループ1つ(ルノー・日産自動車連合)、日本に1社(トヨタ)、中国に1社(可能性のある候補は数社ある)、そして見込みのある欧州メーカー1社(フィアットかPSAプジョー・シトロエンのどちらか)だけだろう」
この見通しの詳細は間違っているかもしれない。現在の苦悩や目前に迫った破綻にもかかわらず、GMが消えてなくなり、フォードが米国人所有の唯一の勝者になると考える人はまずいない。
フランスのPSAプジョー・シトロエンも手に負えない状態にあるが、すぐに消えてなくなるわけではない。新興市場や北米市場での現代・起亜自動車の強さを考えると、韓国メーカーも確実に生き残りメーカーのリストに入るはずだ。
そして日本では、三菱自動車やスズキといった小規模メーカーが淘汰される可能性がいかに大きくとも、ホンダ、それに恐らくマツダは健闘し、国内市場でトヨタの牙城を切り崩そうとまだ頑張るだろう。ルノーのパートナーである日産も、また然りだ。
だが、マルキオーネ氏が予想するほど業界の変化が劇的でない可能性が高いとすれば、それは単に、この業界の大部分が今なお極めて非現実的な市場シェアの見通しや価値を破壊する投資から抜けきれない状態にあるためだ。
JBpress特典として、最新号がプレゼントされます。
- 日本の財政赤字:終末の日はまだ先 (2010.03.16)
- ドイツ経済:欧州の原動力 (2010.03.15)
- いよいよ世界に蔓延する模造品 (2010.03.12)
- 財政赤字:誰が勘定を払うのか? (2010.03.10)
- 通貨競争:底を目指すレース (2010.03.09)
- 「グローバル産業」
- 「自動車産業」
- 「業界再編」
- 「フィアット」
- 「クライスラー」
- 「ビッグスリー」
- 「セルジオ・マルキオーネ」
- 「オペル」
- 「マグナ」
- 「セルジオ・マルキオンネ」
- 「マルキオンネ」
- 「マグナ・インターナショナル」
- ■The Economist日本の財政赤字:終末の日はまだ先 (03月16日)
- ■国防邦人を救出できない自衛隊でいいのか (03月16日)
- ■Financial Times調査報告書が暴いたリーマン破綻の内実 (03月16日)
- ■日本経済・解体新書石油を「代替」できるエネルギーなど存在しない (03月16日)
- ■日本半導体・敗戦から復興へ「1+1」が1にもならなかった日本半導体再編 (03月16日)


RSS
Twitter
最新記事
最新記事
SHARE
RESIZE
Small Size
Large Size
PRINT
Small Size
Large Size






