(英エコノミスト誌 2009年5月9日号)
欧州の経済力のバランスに変化が起きている。だが、この状態が長続きするとは思わない方がいい。
反アングロサクソンの急先鋒となったニコラ・サルコジ仏大統領だが・・・〔AFPBB News〕
大陸欧州の指導者たちは長年、米国人と英国人、さらには本誌(英エコノミスト)からも、大陸欧州の経済は硬直化しており、規制が過剰で、国家統制が行き過ぎており、真のアングロサクソン流の繁栄を遂げるには自由市場改革が必要だと言われ続けてきた。
しかし、世界同時不況は彼らに三重の意味で満足感をもたらした。規制緩和のリスクが露呈し、国家の役割の重要性が増し、そして(これが一番大きいのだが)アングロサクソンの優位性が崩れたのである。
4月にロンドンで開かれたG20サミットで、フランスのニコラ・サルコジ大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相は肩を並べ、今回の不況の原因を作ったのは自分たちではないと、あからさまに主張した。
メルケル首相も決してウォール街に好感を抱いたことはなかった。だが、反ウォール街のレトリックで主導権を握ったのは、サルコジ大統領の方だった。
かつてパリをロンドンのようにしたいと考えていたサルコジ大統領は、今やレッセフェール(自由放任主義)の制度は破綻したと断言する。ジャン・バティスト・コルベール*1が今再びパリに君臨している。
英国人と米国人はフランスのディリジズム(統制政策)を非難するどころか、むしろそれに追従することに懸命だ。
英国のゴードン・ブラウン首相は新たな金融規制と増税をいち早く導入し、バラク・オバマ大統領は米国がフランスから学んで真似できることがいくつかあると示唆して同国の保守派層を仰天させた。
事実、欧州では新たな序列が生まれている。国家統制主義のフランスが頂点に立ち、協調組合主義のドイツが中位となり、昔ながらの自由主義を守る哀れな英国は最下層に落ちた。
異なる資本主義がせめぎ合う欧州
これを政治的な日和見主義として片づけるのは簡単だ。だが、その裏には重大な論点が潜んでいる。このことは、世界最大の経済単位である欧州連合(EU)が進む方向性に関する議論だけでなく、現代の世界でどんな種類の経済が最も有効に機能するのかという問題も呈しているのだ。
*1=ルイ14世の財務総監を務めた17世紀の重商主義者
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